aurora arc(オーロラ・アーク)は、BUMP OF CHICKENのメジャー7作目(通算9作目)のオリジナルアルバムです。
アルバム収録曲を一見して分かるのは、シングルカット、タイアップなどでの既発曲の多さ。既発曲を除くと新曲は実質3曲(内一曲はインスト)のため、既発曲を全て聞いている非常に熱心なファンには少し物足りないアルバムとなっているのかもしれません。
私はBUMP OF CHICKENは今までのアルバムは全て聞いている程度のファン(シングルは未聴のことがほとんど)ですが、例にもれず最近の既発曲に関しても未聴だったため、シングルばかりの非常に豪華なアルバム、というのが第一印象でした。
各曲の印象の前に全体として今回のアルバムどうよ、というところで話をすると、既発曲を聴いていない私としては非常に密度の濃いアルバムと感じましたし、近年のバンプのアルバムの中では全体を通した完成度も高く、一枚の作品としてこれからも聞き続けていくことになるだろうな、というのが率直な感想になります。
1曲目、aurora arcは非常に空間の広がりを感じさせるインスト曲で、近年のバンプの特徴である煌びやかな音色が存分に生かされており、アルバムの一曲目としては期待感を煽る非常に良い仕上がりを感じます。
続く2曲目、月虹は、まずタイトルが格好いい。もちろんそれだけじゃなく、曲も非常に疾走感があって格好いい。強く感じるのはロック的な疾走感というよりもむしろ、アイリッシュ、トラッドの香りが感じられる印象的なギターリフを伴った疾走感であることがこの曲を特徴づけています。
バンプはアルバムの中にこのようなアイリッシュ、トラッド風味の曲を入れてくることがちょくちょくあるが、本アルバムではこの曲がその枠のようです。
また、アニメ、からくりサーカスの主題歌として採用されていただけあって、疾走感だけでなくキャッチーさも持ち合わせており、本アルバムの白眉といっても差し支えない出来です。聞いていて思わずニンマリ。
3曲目、Auroraはいかにも最近のバンプっぽいキラキラした、空間の広がりを感じさせるポップな良曲。初聴の際にはそこまで引っかかりがなかったのですが、聞けば聞くほどジンワリと染みるスルメ曲でした。
4曲目、記念撮影は歌詞の言葉の乗せ方が特徴的な穏やかなバラード曲で、アレンジには少しエレクトロニクス要素が入っていて、こちらも宇宙のような空間の広がりが感じられる。
5曲目、ジャングルジムは久しぶりに純粋な弾き語り曲で、ボーカルの藤原さんの綺麗で優しい歌声が存分に楽しめる作風になっており、曲そのものは子供のころを思い出させるような非常にノスタルジックな仕上がりになっています。
6曲目、リボンは歌詞のフレーズ所々にバンプの今までの曲中のモチーフ(ガラス玉、ポケット、野良猫などなど)が登場する、新曲のはずなのに懐かしさを覚えるミドルテンポの曲です。
7曲目、シリウスは勢いの良いロックナンバーで歌詞からもどこかシリアスさを感じさせます。また、メロからサビにかけての曲調の変化の大きさも特徴的です。
まあ細かいことは置いといて、カッケーって言っておけばいいとも思います。
8曲目、アリアは壮大な印象のイントロから始まる曲ですが、メロになるとガラッと印象が変わります。私個人としては少し印象が弱い曲。
9曲目、話がしたいよ、はメロディの美しさが際立つバラード、少しゴスペルっぽさやアーシーな雰囲気が漂うのが最近のバンプらしさといったところでしょうか。歌詞を抜きにしてメロディの良さだけで楽しめます。
10曲目、アンサーはイントロやサビで繰り返されるギターリフが特徴的なキャッチーな良曲。ただ少しサビの突き抜けが足りない気がしてしまうのはご愛敬。
11曲目、望遠のマーチは疾走感とひたすらな前向きさを感じさせてくれる勢いの良い曲。いこーうぉーうぉーうぉー!
12曲目、Spicaは望遠のマーチから一転して、チルアウトを連想させるような穏やかな楽曲。アレンジも完全エレクトロニカです。
13曲目、新世界は本アルバムで一番ポップなメロディやコーラスを持つ楽曲で聞いてるとひたすら明るくなれる気がする。というか、ベイビーアイラブユーだぜ、っていうコーラスが斬新すぎる一曲です。
14曲目、流れ星の正体は本アルバムを締めくくるにふさわしい壮大なバラードです。静かでアコースティックなアレンジから始まり、次第に熱を帯びていく演奏がまさに大団円をイメージさせ、胸が熱くなるものがあります。