君と僕と世界の心的ジスキネジア -Lyu:Lyu- レビュー
収録曲
張り裂けそうな魂の叫び
君と僕と世界の心的ジスキネジアはLyu:Lyuの初めてのフルアルバムです。このフルアルバムの前に3枚のミニアルバムをリリースしており、そこから代表曲も再録されています。Lyu:Lyuはもともとナノウという名前でボカロPとして活動していたコヤマヒデカズさんが立ち上げたバンドになります。
アルバムタイトルにあるジスキネジアとは神経の異常によって生じる不随意運動(意図しない運動)を指す言葉で、そこに心的とついていることから「心の意図しない動き」を意味する言葉として使われているのでしょう。このアルバムではそのような意図しない心の動き(特に生きる上での悲しみや苦しみ)をそのまま歌にしたような、張り裂けそうな魂の叫びが歌詞やアレンジに詰め込まれています。
ざらついたギターサウンドと重々しいリズム隊が主導する曲が多く、全体的にトゲトゲしい雰囲気を漂わせながら、時に美しいメロディを聞かせるのが本アルバムの楽曲の全体的な特徴になります。
また、文学少年の憂鬱はナノウとして活動していた時期から存在する名曲で、ぽつりぽつりとつぶやくようなメロディで始まり、サビでは「誰か名前を呼んで僕の、突然悲しくなるのは何故」と孤独や日々のやりきれなさを叫ぶ、憂いに満ちた印象的な楽曲です。
Lyu:Lyu 「文学少年の憂鬱」 (Official Music Video)
まとめ
君と僕と世界の心的ジスキネジアはLyu:Lyuならではの魂の叫びが詰め込まれた一枚。全体的に暗く重い世界観で統一されながらも、そこには生きることをあきらめない人間の強い思いも共に歌われている。