#4 -凛として時雨- レビュー
収録曲
狂乱する楽器隊とボーカル
#4は凛として時雨の1枚目のフルアルバムです。耳に飛び込んでくるのは空間を削るようなギター、手数のやたら多いドラム、それらに埋もれまいと蠢くベース、そして少し素っ頓狂にも聞こえる高い声のボーカルと、かなり攻めたアレンジ。聞けば聞くほど凛として時雨でしかありえない組み合わせで、初聴の際のインパクトはかなり強い。
彼らの楽曲の特徴の一つとして、複数の曲を張り合わせたようにも感じるほどの曲調の急展開があり、そこには静から動、動から静といったような大きな展開も伴うこともしばしばです。そのため、楽曲そのものからも非常にダイナミズムを感じます。
非常に攻めた楽器隊の演奏を聞かせてくれる本作ですが、ボーカルもそれに負けていません。男女のツインボーカルで時には絶叫に近い音域で高らかに歌い上げられています。
聴き所はというと思わず全曲と答えたくなってしまうほど密度の濃い一枚ですが、絶対に外せない曲を上げるとしたらやはり1曲目の鮮やかな殺人でしょうか。初っ端のディレイの効いたギターとともに歌が入ってくる瞬間は何度聞いてもゾクッとさせられてしまいます。その後は一分近くのイントロで楽器隊が疾走し、急にスピードを落としたと思ったらまた歌が入ってくる。歌が楽器隊と併走し熱を上げ始めたかと思ったら盛り上がりの最高潮で急に曲調が変化する。というように展開が非常に多彩で凛として時雨の特徴をこれでもかと詰め込んだ一曲になっています。
惜しむらくは、アルバム全体として録音の質が少し悪く、各楽器隊の迫力が損なわれていることがあり、これは次作以降の彼らの作品で少しずつ改善されていくことになります。
まとめ
凛として時雨にしか作れないであろうエキサイティング&スリリングでちょっぴり感傷的な部分も感じさせる初期の金字塔的1枚。凛として時雨入門に迷ったら歴史を辿るという意味でもこの一枚から入るのがおすすめ。