ポタオデと音楽

ポータブルオーディオ機器と音楽についての感想・レビューをぱらぱらと。

試聴記録 2022/01/06

[感想] 試聴記録 2022/01/06

1月に入ってから試聴した以下の機種たち。

あまり聞き込めていないので、レビューとまではいきませんが、備忘録的に簡単に感想や思うところを書いておきます。

■試聴した機種一覧

□イヤホン
  • VISION EARS Erlkönig
  • VISION EARS PHÖNIX
  • DITA Dream XLS
  • qdc Dmagic 3D
□ヘッドホン

 ■VISION EARS Erlkönig

筐体がすごくずっしりとしてて高級感がすごい。VISION EARSの初めてのユニバーサルモデルにも関わらず、重さが気にならないレベルで装着感は良かったです。

VISION EARSのイヤホンの特徴として、所有しているEVE 20や店頭でいくつかのフルBAモデルを試聴した感じだと、密度が高くエネルギッシュな鳴り方をしつつも、各音の分離感やキレの良さが損なわれていないことが特徴的だと思っていましたが、Erlkönigについても例に漏れずそのような傾向を感じました。EVE 20との比較するとドライバ数は2倍以上になっている訳ですが、増えたドライバ数による影響は主に各音の響き、余韻、広がりなどの空間表現の向上や、EVE 20では多少足りなかった高域の伸びに表れている気がします。このあたりはJH AudioのLaylaとAngieの関係にも似ている気がします。

サウンド切り替え用の回転式スイッチで4種類のチューニングに変更可能ですが、どのチューニングを選択しても決して破綻することなく魅力的な音色を奏でているのはさすがに高いだけのことはあるなと思いました。一番人気はスイッチ2(Moderate Bass)のようですが、中域を邪魔しない範囲でのモリモリ低音好きの私にはスイッチ1(Powerful Bass)も非常に魅力的に聞こえました。スイッチ3(Super High)、スイッチ4(Forward Mids)についてもそれぞれ違った魅力を感じましたが、自分の中にあるVISION EARSらしさにより合致するスイッチ1, 2がやはり自分の中では印象に残っています。

中古でも相場は40万円以上と非常に高額ですが、いつかは手に入れて色々な音源で聴きこんでみたいです。

価格はもちろんのこと、状態の良い中古がほとんど出回らないのが最大のネックですが。。。今更ながら、終売直前に価格が落ちたタイミングで新品購入しておけば良かったと後悔するばかりです。。。

 ■VISION EARS PHÖNIX

Erlkönigのスイッチ2のチューニングをもとにアップデートを加えたものとのことで、一聴してどの帯域も高品位で空間表現も良く、非常に丁寧かつ緻密にチューニングされたのだろうなという印象を覚えた一方で、VISION EARS特有の良い意味での荒々しさは薄れ、どこか優等生的になりすぎてしまっているのでは無いかと思いました。そういった点から、VISION EARSらしさを色濃く残していたErlkönigの方が好みです。デザインも価格からするともう少し高級感が欲しいような気がします。

 ■DITA Dream XLS

シングルダイナミックドライバーの名機として名高いですが、試聴レベルではあまりその魅力を感じられませんでした。。。みんなが口をそろえて言う広大な音場もそこまで感じられず、平均よりは良いかな?くらいの印象で、あまりどのような音質だったか記憶に残っていません。。。機会があればもう少し聞きこんでみたいところです。

 ■qdc Dmagic 3D

ダイナミックドライバ3発と他に無い変わった構成のため、一度は聞いてみたかった機種でした。低域、中域の質感はなかなか良い印象だったのですが、高域がそこまで伸びている訳では無いのにやけにシャリシャリと楽曲から浮いているように聞こえる苦手なタイプでした。。。良く言えば、高域が刺さらない範囲で明瞭に聞こえるので高域好きの方には好ましい傾向なのかもしれません。

 ■ULTRASONE Jubilee 25 Edition

ULTRASONE製品の中でもずば抜けて高額なモデルのため、どのような音がするのか非常に期待していたのですが、高域はシャリシャリ、低域はスカスカですぐに試聴をやめてしまいました。ケーブルに特殊な加工がされていたのでその影響もあるかもしれませんし、駆動力の高いアンプなどを用意するとまた違うのかもしれませんが、少なくとも現状の環境で鳴らすのであれば10分の1の値段でもいらないなと思いました。

 ■ULTRASONE Edition5

Jubilee 25 Editionの直後に聞いたのでかなりまともなバランスに聞こえましたが、それでもやはり私には高域が過剰で低域が不足がちに感じました。ただ、しばらく聞いていれば慣れるレベルの範囲には収まっている印象です。音場、定位、空間表現は良好で、大きさの割に軽く装着感も良いので、安く買えるなら持っておいても良いかとは思わされました。ただ、ヘッドホンでケーブルとの接続がMMCXなのは耐久性が非常に不安です。。。

 ■ULTRASONE Edition8 Julia

全体的には派手でちょっと雑さを感じる鳴り方と感じました。低域はある程度深い所まで出ていますが、ヘッドホンならもっと量がモリモリ出て包み込まれる感覚が欲しいです。高域は鋭く硬質な鳴りで刺さるギリギリの鳴り方で、もう少し柔らかさが欲しいところです。中域はあまり印象に残りませんでしたが悪くはなかったと思います。ポータブルで雑に使いまわすには十分な音質だと思いましたが、それならイヤホンでいいなぁという感じです。

 ■ULTRASONE Edition 15 Veritas

ULTRASONEのEditionシリーズとしては最新のモデルで、価格に見合うかは微妙な所ですが、純粋な音質だけで考えるとなかなかに良かったです。低域の量感はそこまで増えた訳では無いのですが、高域のキツさについてはだいぶ抑えられて繊細な質感になっており、音量をある程度上げると非常に気持ちよく鳴ってくれました。音場、定位、空間表現はEdition5と同様に良好で、奥行、立体感も感じられ、音楽に没入することができました。

私の中のULTRASONEの音のイメージは、Edition9、Signature Pro / DJ、Tribute7あたりで止まっており、そこからするとEditionシリーズの中では最新のモデルであるEdition 15 Veritasは、全体的にマイルドで、各音のディテールを描写するというよりも空間表現を重視した音作りに変化してきているのかなと感じました。今思うと、一時的に所有していましたが初期不良が連続して最終的に返品・返金となったSAPHIREも、同じような傾向にあったことを思い出しました。一昔前のULTRASONE製品は全体的にロック、ポップスを派手な音で気持ちよく聴ける音質傾向でしたが、最近のULTRASONE製品はクラシックやアコースティックな楽曲をゆったりと落ち着いて聴くための音質傾向にシフトすることを目指しているのでしょうか。そのような傾向も嫌いではないですが、昔のような音質傾向のモデルのバージョンアップ版も出して欲しいところです。もしかしたらSignatureシリーズの製品群は昔の傾向を維持しているのかもしれませんが、いかんせんケーブルが片出しでバランス接続するためには改造が必要になりそうなので試聴すらしたことがありません。基本的にはプロユース向けなので取り回しの良い片出しになるのはしょうがないのかもしれませんが、個人的にはとても残念です。