ポタオデと音楽

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機材のお手入れについて

[Tips] 機材のお手入れについて

ポータブルオーディオ機材はよほど慎重に扱わない限りは傷や汚れはつきものです。この記事では私が普段機材のお手入れの際に愛用している製品をご紹介します。

■日常的な汚れのお掃除

機材が汚れてしまったなと感じた時には、基本的には柔らかいクロス(100均のメガネクロスで特に不便を感じていません)で優しく乾拭きををしています。某大手専門店では試聴スペースにクリーニング用としてウェットティッシュが用意されていますが(これ、中古商品の状態が悪化しそうでかなり気になります。。。)、アルコールはイヤホン本体の樹脂を侵したり、ヘッドホンのイヤパッド、ヘッドバンドの皮革を痛める原因になるので、よほどの汚れではない限りは使用を控えるのが賢明かと思います。もしアルコール含有のウェットティッシュやクリーニング剤を使う場合でも、濃度の低いものを少量、汚れの酷い箇所に使用範囲を絞って使用するのが良いかと思います。ウェットティッシュには除菌、殺菌、汚れ落としの性能を向上させるために、アルコール以外にもさまざまな成分が含まれていることがありますが、それらが悪影響を与えないとも限らないため、できる限り精製水、アルコール以外の成分が含まれていないものがおススメです。

■傷の除去(ポリッシング)&コーティング

傷の除去(ポリッシング)とその後のコーティングには主に以下の製品群を使っています。

主にプラモデルなどの模型用のコンパウンドとコーティング剤で、オーディオ製品専用品ではありませんが、私が主に樹脂筐体のイヤホンに使用している範囲では特に問題などは起こっていません。

コンパウンドは傷の深さに応じて使い分ける必要がありますが、私はできる限りイヤホン本体のダメージ(研磨量)を少なくするために、最も目の細かいものから順番に試していくようにしています。

上記製品群ですと、

  1. セガワ セラミックコンパウンド
  2. タミヤ コンパウンド(仕上げ目)
  3. タミヤ コンパウンド(細目)
  4. タミヤ コンパウンド(粗目)

の順で目が粗くなっていきます。

わずかなスレ程度でしたら、ハセガワ セラミックコンパウンドタミヤ コンパウンド(仕上げ目)で研磨した時点で消えることが多いです。

スレよりも多少目立つ線キズでも、タミヤ コンパウンド(細目)までかけた時点で消えることがほとんどです。

タミヤ コンパウンド(粗目)の粗さですと、筐体表面の光沢などが失われるレベルでしっかり研磨されるため、できる限り範囲を絞って研磨するようにしないと後でまたツヤツヤの表面に戻すのに苦労することになります。筐体の樹脂自体に着色されているタイプではなく、塗装で着色されている場合などにはその塗装自体が剥げてしまう危険性もあるため、基本的には粗目を使うのは最終手段と思っておいた方が良いです。

スレや傷が消えるまで順番に粗い目のコンパウンドに移行していき、消えた時点で今度は順番に細かい目のコンパウンドに変更しつつ表面を整えていきましょう。

コンパウンドを細かい目に変更するタイミングで、粗い目のコンパウンドティッシュなどでしっかりふき取ることも重要です。粗い目のコンパウンドが残っている状態ですと、細かい目のコンパウンドで研磨しているはずなのに、微量に残った粗い目のコンパウンド粒子のせいで研磨跡があまり綺麗になっていかないなどの問題が発生する可能性があります。

上記のように丁寧にポリッシングする場合、作業箇所の量によっては1時間以上かかってしまうこともありますが、横着してポリッシングに失敗してしまうと綺麗になるどころか状態がより悪化してしまうため、しっかり時間が取れる時に取り組むのが良いと思います。

コンパウンドがノズル、2pin / MMCX コネクタ部分、ベントなどに入ってしまわないように作業することも重要です。マスキングテープなどで上記の箇所を事前にふさいでおくと安心ですが、私は指などでカバーしながら慎重に研磨することが多いです。

スレや傷を消し、最終的にハセガワ セラミックコンパウンドで表面を整えたら最後にハセガワ コーティングポリマーで表面をコーティングします。ハセガワ スーパーポリッシングクロスにコーティングポリマーを少量垂らし、良く馴染ませてからイヤホン本体をふきあげるようにしています。コーティングポリマーの量が多い場合、なかなか乾燥せず定着が遅れたり、ムラが出来たりする場合があるので、時間も手間もかかってしまいますが、少量でのコーティングを何度か繰り返すようにした方が綺麗に仕上がる傾向が有ると思います。コーティングの乾燥、定着にかかる時間ですが、少なくとも半日程度は触らずに放置するのが良いと思います。また、コーティング後1~2週間はアルコールでのお掃除も控えた方が良いと思います。

■金属筐体イヤホンのポリッシング

基本的にはあまりおススメはできません。一度細かいスレ、傷が多数あるSONY IER-Z1Rを上記と同じ手順でポリッシングしてみた際には、確かにスレ、傷は目立ちづらくなり、鏡面加工の光沢感もある程度戻りましたが、樹脂筐体と異なりスレ、傷が完全に無くなることは無かったです。また、コーティングポリマーの定着も樹脂筐体と比較して悪いのではないかと予想されます。金属筐体のイヤホンに傷がついてしまった場合には、それも味として受け入れていく方が精神衛生上良さそうです。

もしくはまだ試したことはないのですが、専用の金属磨き用のクロスなどを使用するともう少し改善が見られるかもしれません。

■終わりに

機材のお手入れには時間と手間がかかりますが、自分が愛用しているものが綺麗になっていくのを見るのは非常に心地良いです。一方で、お手入れのし過ぎも悪影響となり得るので注意する必要があります。

また、ポリッシングとコーティングを自分でできるようになると、傷有の中古製品を購入した場合でも傷の程度次第では新品同様の綺麗な状態に戻すこともできるので、中古購入する方には特におススメです。

専門店のポリッシング&コーティングサービスもありますが、両方実施すると1万円程度かかり、仕上がりの具合についても自分でやる場合とそこまで差を感じないため、私はそういったサービスは利用しなくなりました。

何よりも、自分の大切な愛用品を他人に預けるのはどういう扱い方をされるのかわからず多少の抵抗感がありますし、自分で丁寧にお手入れすることでより愛着も湧くので、私にとってはメリットだらけでした。

ぜひ皆さんも、愛機の傷や汚れが気になってきたら、一度は自分で上記のお手入れをしてみてください。できれば最初は失敗してもダメージの少ない低価格機から試せるとなお良いと思います。