ポタオデと音楽

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かつての所有機たち ~追憶編~ 第一回

[簡易レビュー] かつての所有機たち ~追憶編~ 第一回

2021年の年末から現在までにかけて、フリマデビューして使わなくなった機器を売却してきました。今回はそれらの機器+αに思いを馳せながら、記憶の中にある彼らの音質について簡単にレビューをしていきたいと思います。

レビュー対象となる機種の数が多いため、全部で三回に分けて記事を投稿する予定です。

※ポタオデ沼にハマってから他にも多数のイヤホン、ヘッドホンを所有してきましたが、ハマり始めた当初に所有していた機材の音質についてはさすがに覚えていないため、ある程度音質を覚えている機材に対象範囲を絞っています。

■対象機材

本記事では以下の既に手元に無い機種について、三つの記事に渡って簡易レビュー(基本的には簡単な感想レベル)を行います。

本記事(第一回)では、赤太字の6機種がレビュー対象となります。

□イヤホン
  • Astell&Kern : Layla (Universal Fit) [売却]
  • Atomic Froyd : SuperDarts [行方不明]
  • DITA : Dream XLS [返品]
  • EMPIRE EARS : Legend EVO [返品]
  • EMPIRE EARS : Legend X (Universal Fit) [返品]
  • EMPIRE EARS : Valkyrie (Universal Fit) [売却]
  • Etymotic Reserch : Hf5 [破損]
  • Heir Audio : TZAR 350 [売却]
  • SONY : XBA-Z5 [売却]
  • ULTRASONE : Saphire [返品]
□ヘッドホン
  • AKG : K812 [売却]
  • bayerdynamic : DT1350 [売却]
  • Philips : Fidelio L2 [売却]
  • SONY : MDR-1R [売却]
  • SONY : MDR-Z1000 [売却]
  • SONY : MDR-Z1R [売却]
  • ULTRASONE : Signature DJ [売却]

■簡易レビュー

□Astel&Kern : Layla (Universal Fit)

www.e-earphone.jp

発売当初は40万円弱と他のイヤホンを寄せ付けない圧倒的に高額なハイエンドイヤホンで、ポタオデ沼につかった多くの人が一度は手にしたいと憧れた製品では無いでしょうか。

音質自体はBAを12ドライバ搭載しているだけあって、全帯域に渡ってかなり濃厚かつ各音をクッキリ、ハッキリと描写する鳴り方をしていた記憶があります。同時期に発売された下位モデルのAngieと比較すると、よりモニター然としてエッジが立ったクリアで解像感の高い鳴り方をしているのはAngieの方で、Laylaはどちらかというと各音の生々しさや空間表現、臨場感の演出に長けているという差異があったという記憶があります。

Layla、Angieともに純正付属ケーブルを使用している場合に低域の量の調整が可能ですが、低域は明らかにLaylaの方が量が多く出る傾向にあり、低域調整機構の無いケーブルで運用(低域調整を最大にしたのと同じ状態)しようとしていた私とっては、さすがに少々低域が多すぎでした。

また、初代Layla, Angieのシェルはハンドメイドで作成されており、個体によっては作りや仕上げが雑で傷ができてしまっていたり、左右でケーブルのコネクタの取り付け角度やステムの太さに差があることがままありました。私は中古でかなり安く購入しましたが、状態としてはほぼ傷の無い美品であったものの、コネクタやステムの左右での形状差が大きく、定価40万時弱の高額な製品としては少々納得の行かないビルドクオリティであったと思います。

上記の私の運用の仕方だと低域が多すぎる点と、ビルドクオリティがイマイチな点の合わせ技で売却決定と相成りました。

□Atomic Froyd : SuperDarts

www.e-earphone.jp

確か定価が3万円程度で、発売当時としてはハイエンドとは言えないものの、かなり高級な区分に含まれるイヤホンだったと思います。

最近では密閉型のカナル型というと、ケーブルを耳にかけ、イヤホンの本体の形状もカスタムIEMを参考にした耳へのフィット感の良いものとなっていますが、SuperDarts発売当時はケーブルはイヤホンからそのまま下に垂らし、筐体自体も耳に突っ込みやすいような細長い形状で、主にイヤーピースのみでイヤホンを支える形式が主流でした。

また当時としてはまだ珍しい、BAとDDが各1基ずつのハイブリッド型で、低域はドンドン、高域はシャリシャリと、とにかく派手で、複数のドライバに異なる帯域を担当させています感がありありと出ています。昨今の多ドラやハイブリッドでもつながりの良い音に慣らされている方にとっては、少々品の無い鳴り方と感じる方がほとんどだと思います。また、中域は派手な低域、高域に押されて目立たず、質自体もボーカルに多少のざらつきや歯擦音を感じることがありました。

今までに低価格帯のイヤホンしか使用してこなかった人にとっては、この低域、高域が強調され、解像感も感じやすい派手な音作りに今までにない魅力を感じる人も多かったのでは無いかと思います。

私も2021年末の大掃除に合わせて所有していたSuperDartsを捜索したのですが、外箱や付属品などは見つかったものの、本体についてはとうとう出てくることはありませんでした。

あれからしばらく年月が経ち色々なイヤホン、ヘッドホンを聞いてきましたが、その上で SuperDarts 再度聞いたら新しい発見もありそうで、ぜひ発掘したいところです。

□DITA : Dream XLS

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シングルダイナミックドライバの名機と呼ばれており、私が聞いてみたいと思った時には既に生産を終了しており中古でしか入手できない状態でした。運よく相場程度で状態の良い中古が手に入ったのですが、コネクタ部分にグラつきがあり、そのせいか時たま音切れも発生する状態でした。そのような状態だったので、あまり音質を確認することもできず返品と相成りました。

返品前の状態確認時に試聴していた感じですと、前評判ほどの音場の広さは感じられず少しがっかりした記憶がありますが、確かにクリアさや抜けの良さには秀でていた気がします。

帯域バランス的には低域はすっきりとして薄く空間に広がる感じで、どちらかというと中域や高域の方が目立つバランスだった記憶があります。

また、シングルダイナミックドライバらしく各帯域の繋がりや空間表現自体は非常に自然で、聞き心地自体はかなり良かった印象です。

正直十分に聞き込めておらず、さまざまな音源を聞くことで印象も変わりそうなので、機会があればまた買いなおしたいと考えています。

EMPIRE EARS : Legend EVO

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こちらも使用時間の短い状態の良い中古を購入しましたが、一部界隈で話題になった特定周波数帯域での左右の音量バランスの崩れが発生する個体で、購入前に音量バランスの崩れは無いとのことで購入しており、保証書なども廃棄済みで販売店やメーカーへの問い合わせが実際の購入者以外不可能な状態であったため、結果的に返品と相成りました。

状態確認の際と、販売店店頭で試聴した程度ですが、最も特長的なのは音場の中央付近に非常に深くに沈みこむ低域で、Legend Xほどの量感や空間的な広がりは無いものの、別の方向性で非常に主張の強い低域となっていました。

また、低域の量感や広がりが抑えられた分、中域、高域側の広がりや透明感が相対的に増しており、全体としてはよりバランス良く立体的な音場が形成される傾向がありました。

各音の分離感はLegend Xと比較しても向上しており、人によっては逆にまとまりの無さを感じる場合もありそうな印象でした。

件の左右音量バランスの崩れはLegend EVOにて初導入された骨伝導ドライバの影響のようで、メーカー側からこの件に関しては特別な案内など出ていないようなので、このまま仕様として片付けられてしまう可能性もありそうです。

Legend EVO は特に低域側でかなり特長的な鳴り方をする機種で、高域側にかなり特長のある Noble Audio KHAN と同様に合う音源、合わない音源での差が激しそうです。個人的には非常に気になっている機種で、左右音量バランスの崩れの問題が解決されたり、そのような問題が起こらない中古を見つけられることがあれば、もちろん価格次第にはなりますが、再度購入して手元に置いておきたいところです。

EMPIRE EARS : Legend X (Universal Fit)

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EMPIRE EARS の中でも最大のベストセラーと言っても良い人気機種だと思います。非常に厚みと広がりのある低域を特長としており、この低域のおかげでヘッドホンやスピーカーほどとはいかないまでも、非常に頭内定位感の少ないイヤホンらしからぬ広大な音場を感じることができます。中域に関しては音源によっては低域の量感に押され引っ込みがちになることもありますが、基本的にはクリアな鳴り方で、高域も量感は十分でなかなか鮮やかに鳴らす印象です。どちらかというと滑らかさよりは分離感を重視したような音像で、どっしりとした低域を下支えとしてその上で中域、高域のボーカルや楽器が踊るように楽曲を盛り上げてくれます。総じて非常に迫力や臨場感の演出に優れた機種であると言えると思います。

私は中古で購入して2週間弱ほど使用していましたが、特定周波数帯域で片側のチャンネルにだけノイズが発生することが確認され、結果的に返品となりました。音自体は非常に気に入っていたため非常に残念でした。

現在は同社の ODIN を所有しており、傾向としては Legend X と被る部分もあるため再度購入することは無いかもしれませんが、EMPIRE EARS の多ドライバハイブリッドの機種の完成度の高さを見せつけられた機種でした。

EMPIRE EARS : Valkyrie (Universal Fit)

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こちらもLegend Xに続く EMPIRE EARS のベストセラーモデルで、現在では後継機の Valkyrie MKII が販売されておりこのモデルは生産終了となっています。

音質傾向としてはドライな鳴り方が特長的で、高域は線が細めですがしっかりとした伸びがあり、低域も量感こそLegend Xなどには及ばないものの、弾力がありつつ、アタック感やスピード感を強く感じさせる気持ち良い鳴り方をします。中域は輪郭がはっきりとしたクリアな鳴り方ですが、艶やかさや響きなどには欠けるドライな鳴り方が目立ちます。

Valkyrieのもう一つの大きな特長として、DD、BA、EST を各帯域に一つずつ割り当てた 3ドライバ 3ウェイ という、昨今の高級帯のモデルとしてはかなりドライバ数を絞った構成をしており、そのおかげか全体域に渡って必要以上の音の厚みや密度感が抑えられた非常に抜けの良いスッキリとした音場表現をしていることが挙げられます。これにより、Legend Xとはまた違った感覚の広大な音場を感じることができます。

後継機のValkyrie MKIIは主に低域の強化がなされており、初代において低域の量感が足りないと感じていた方にはおススメできる可能性はありますが、Valkyrieの大きな特長であったクリアさやスピード感については感じづらくなっているため、必ずしも後継機が音質的に優れているという訳では無く、自分の好みに合わせて選ぶ必要があると思います。個人的には初代の Valkyrie の方が他のイヤホンには少ない独特な鳴り方をするため個性的で好印象でした。

私が初めて購入したEMPIRE EARSのイヤホンで、同時に Valkyrie で初めてESTを採用した高域の音を聞きました。私はどちらかというと高域が派手になる傾向のイヤホンが苦手なのですが、ESTを採用した Valkyrie の高域は線が細く伸びがありながらも繊細かつシルキーな印象で、私の苦手な刺さりがほとんど感じなかったため、一聴してESTの虜になりました。もちろんESTの鳴り方に違和感などを覚える方もいると思いますので、その点は注意が必要です。

かなり気に入っていた機種なのですが、多少使用頻度が落ちていたことと、イヤホンが増えすぎてきていたため多少なりとも数を減らしたいと思い、それなりの値段が付くうちに売却してしまいました。

 

第一回のレビューはここまでになります。今回のレビューに気になっている機種が含まれていなかった場合は、次回、次々回の記事をお待ちいただけたら幸いです。